本が危ない!

30年近く在宅高齢者に関わる仕事をしていると、時々本棚を見させていただくことがある。基本、不動産を始めとした利用者の所有物の行く末に関してケアマネは関与しない。

しかし事が書籍となると、つい「・・・になったとき、この本はどうなさるおつもりで・・・」と尋ねてしまうことがある。目の前の、明らかに貴重であろう書籍群が機械的、自動的に灰燼に帰すことにどうにも気持ちが揺れて、失礼とは知りつつ、つい口から出てしまうのである。一度大学の図書館に引き取りの打診をしたが、「目録を見て判断します」と言われて断念した。そこまでのお願いは本人、家族にはできないし、自分がそれをとなると相当の時間と労力を必要とするから諦めざるを得ず、結局はBOOKOFFということになった。

まあ、この世に存在するだけでも良しとするべきなんだろう。そうでなけりゃ、多分整理業者が運び出して、そのままゴミ処理場だろう。あーそんなふうに本の命も尽きるのか、と思うと、どこかでそれだけは回避したいという気持ちが生じてくる。となると、どうすればということになる。考えるアイディアの一つが、公共図書館と、古本屋と、本の修復屋の共同で管理するシステムの構築である。

最初にすべきは、本のSOSセンターを作り、捨てられそうな物件を見つけたら知らせてもらい、しっかりとした見立て屋が確認に出向き、保存の必要性ありなしを評価、トリアージし、タグ付けする。保存は古書店に依頼し価値の何%かを保存費用として支払う。売れた場合はその間の保存費用は代金に上乗せし、行政に返却。修復は障害者支援施設に委託。デジタル保存は案外と脆弱で、紙の耐久性は結構強靭である。本が生きているということは文化が繋がっているということである。

いいアイデアだと思うが、どなたか、具体化してくれないだろうか。そうだ、議員に頼もう。

令和7年5月8日

ケアマネ矢田光雄のひとり言

福岡県北九州市小倉北区真鶴にて「小倉ケアプランセンター」というケアマネ・ヘルパー事業所を経営しております。 こちらでは日々のひとり言をつぶやいております。

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