2つ目の物語は
2つ目の物語はオスカー・ワイルドの「幸福な王子」である。以下ざっとウィキペディアからの抜書を。
渡り鳥であるツバメが旅の途中で王子の像の足元で寝ようとすると突然上から大粒の涙が降ってくる。王子は世の不幸な人々に自分の宝石をあげてきて欲しいとツバメに頼む。ツバメは渋々ながらも言われた通り王子の装飾品を次々と貧しい、不幸な人々に届ける。いつしかツバメはエジプトに渡ることを断念し、街に残ることを決意した。そして街中を飛び回り、両目をなくし目の見えなくなった王子に色々な話を聞かせる。王子はツバメの話を聞き、まだたくさんいる不幸な人々に自分の体の金箔を剥がし分け与えて欲しいと頼む。
やがて冬が訪れ、王子はみすぼらしい姿になり、南の国へ渡り損ねたツバメも次第に弱っていく。死を悟ったツバメは最後の力を振り絞って飛び上がり王子にキスをして彼の足元で力尽きる。その瞬間、王子の鉛の心臓は音を立て二つに割れてしまった。みすぼらしい姿になった王子の像は心無い人々によって柱から取り外され、溶鉱炉で溶かされたが、鉛の心臓だけは溶けず、ツバメと一緒にゴミ溜めに捨てられた。
街の人々は何が起こったのかは知らないが天上の神のみは二人を祝福した、
というなんともせつないお話である。
いつからか私はこの2つの物語の主たる登場人物であるニワトリ、ツバメ、王子を通して「道徳」と「倫理」を考えてきた。三者と他の登場人物との関係性を自分なりに再設定して大衆、国家、権力、法、宗教、自由、平等などの意味を理解する助けとした。本を読む時も、芸術に触れる時も、人、社会、国家を計る時も、そこに他者への献身の有無を探し、その出処を点検してきた。
利己的なもの、利他的なものが介護の世界では交錯し、愛憎の感情が溢れカオスとなっている。
ケアマネは現実と物語の間を行き交う。
なんだか分かりにくい展開になってきた。これも世界の乱れのせいだろう。次回は本業を通して倫理を考えていきたい。
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